陽鍼はり灸の手づくりモグサ
雪浦本院では、昨年から本格的にモグサ作りに取り組み始めました。
モグサの原料であるよもぎを集めるのは4月ごろから6月ごろまで。
山で自生しているよもぎを採取したり、患者さんから家の庭や畑に育っているよもぎをいただいたりして、コツコツ集めます。
集めたよもぎは葉だけをちぎってザルに入れ、天日干しします。
11月ごろまで干していると、よもぎの葉は程よく乾燥して、モグサが作りやすくなるのです。
お灸に使われるモグサとは
モグサはよもぎの葉の裏に密生している白い毛を集めたものです。
この白い毛は毛茸(もうじょう)、腺毛(せんもう)といわれています。
古くからモグサがお灸に使われるのは、毛茸(もうじょう)を燃やしたときのほどよい熱感と、腺毛(せんもう)の心地よい香り、痛みを和らげる作用にあるようです。
また、毛茸(もうじょう)には蝋が含まれているため、他の薬草に比べると燃え方がゆるやかでお灸に適しています。
よもぎから取れるモグサの量
乾燥したよもぎは、本来は石臼(いしうす)でひいたあと、唐箕(とうみ)と呼ばれるモグサ専用の装置を使って、毛茸(もうじょう)や腺毛(せんもう)以外の不純物を除去します。
雪浦本院には石臼や唐箕がないので、大きめのすり鉢で細かく擦りつぶし、葉や茎などの不純物をすこしずつ取り除きます。
出来上がったモグサは、採取したよもぎの葉の4%程度です。
100gのよもぎの葉からできるもぐさはわずか1g程度なのです。
モグサの作用とその効果
作りたてのモグサを燃やすと、腺毛(せんもう)に含まれるシネオールという精油の香りがします。
シネオールには抗菌・抗ウイルス作用のほか、白血病細胞を殺す作用の研究もすすめられています。
私は仕事柄お灸に触れたり匂いを嗅ぐ機会が多ためか、鍼灸師になってからほとんど体の不調を感じたことがありません。
これもモグサの効果ではないかと密かに思っています。
手づくりモグサのお灸
今年もよもぎを収穫する時期になりました。
昨年採取したよもぎは早くモグサになる日を待ちかねているようです。
手づくりモグサにご興味のある方はぜひ一度施術を受けてみてください。
雪浦本院では手作りモグサを主に灸頭鍼(きゅうとうしん)という方法で利用しています。
灸頭鍼(きゅうとうしん)とは、身体に刺した鍼の上部にモグサを載せて燃やす方法です。
この方法だともぐさが直接肌に触れないので、鍼から落ちない限り燃やしても火傷をする心配がなく、安心してモグサの心地よさを感じられます。
灸頭鍼(きゅうとうしん)についてはまた次回あらためてご紹介します。
乾燥させたよもぎの葉っぱ
よもぎからできたモグサ
(文責・雪浦本院 山口)