年齢に関係なく、脱毛でお悩みの方は多くいらっしゃるようです。
脱毛は東洋医学では「髪堕(はつだ)」と呼ばれ、頭髪や眉毛、髭、体毛などが抜け落ちる状態や、短く細くなる状態を指します。
鍼灸施術ではカウンセリングによって脱毛の原因を探り、適切なツボを選んで施術を行います。
今回は、脱毛の原因を4つのタイプに分けてご説明します。
脱毛の原因となる4つのタイプ
1. 血熱(けつねつ)タイプ
ストレスなどの精神的な刺激を受けると、五臓のうちのひとつである肝の気は鬱血し、熱を帯びます。
さらに、心身の乱れによって熱が風を起こし、この風によって頭部の水分が不足して毛髪が抜け落ちる方を、血熱タイプと呼びます。
主な症状としては、突然の部分的な脱毛や頭皮のかゆみなどが挙げられます。
わかりやすい特徴としては、イライラして怒りっぽい、口が乾きやすい、便秘になりやすい、などが挙げられます。
2. 気滞血瘀(きたいけつお)タイプ
血熱と同じく、ストレスなどによる肝の気の鬱血から始まります。
ただし内風は伴わず、気血の運行が悪化することで髪が栄養されないために起こるのが気滞血瘀による脱毛です。
このタイプの方は、部分的または全体的な脱毛が持続的に経過します。
特徴としては、顔色が黒っぽい、舌が紫がかっている、頭部に刺すような痛みを伴う場合がある、などが挙げられます。
3. 気血両虚(きけつりょうきょ)タイプ
病気を長く患ったり過労が続いたりすると、血の不足によって血虚となります。
血虚からさらに内風を生じ、髪が正常に栄養されなくなるのが気血両虚による脱毛です。
特徴としては前頭部が平均的に薄くなる、かゆみを伴う、顔色や爪の色が青白くなる、などが挙げられます。
4. 腎虚(じんきょ)タイプ
こちらは腎精(じんせい)と呼ばれる生命エネルギーが不足したために髪が栄養されなくなって脱毛するタイプと、血の不足によって燥を生じ、血燥になって脱毛するタイプがあります。
腎虚の場合は、頭頂部や両額角から次第に脱毛する方が多く、頭皮が脂っぽい、耳鳴り、不眠の症状などが挙げられます。
陽鍼はり灸の脱毛に対する施術
これらのタイプはどれかひとつだけあてはまる場合もありますが、いくつかの症状が重なるケースも多く見られます。
鍼灸施術ではこれらの症状を見極め、適切なツボを選んで施術を行います。
例えば、からだのなかに生じた風を取り去るツボや、血流をよくするツボ、血を増やすツボなどを用いるのです。
また、頭部を直接鍼で刺激する施術もあります。
頭部の鍼刺激には、梅花針(ばいかしん)と呼ばれる特殊なはりを使うこともあります。
梅花針は、脱毛している局部を直接叩くはりです。
東洋医学では、原因となるからだの状態を改善しながら、脱毛部分にも直接アプローチする手法を用います。
まとめ
いかがでしょうか。
脱毛と一口に言っても、心身の変化や体質によって選ぶツボは変わります。
陽鍼はり灸ではカウンセリングによって適切なツボを選び、施術を行います。
脱毛でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
(文責 山口 陽子)